とんとご無沙汰して申し訳ございません。 辛うじて生存報告です。
ちょっと今年から私事で忙しさが増しておりまして、今年の夏コミは4月時点で不参加になるかもしれないと
思っておりましたが…なんとかコミケに新刊を出す事が出来ました。
会場にも行く事が出来て、とりあえず本を落としたりサークルメンバー不在も免れてほっとしております。
当日、会場にお越しの皆様 本当にありがとうございました。
ずっとコミケ参加をしている自分ですが、以前まではダンボール開けや本の仕分けなどを担当する事で
売り子として接客をする事は多くありませんでしたが…ここ数年はお手伝いを頼む機会が減ってしまい
ほぼ開催中の売り子を担当してます。
その、フルタイムで売り子をやって気付いた事なんですが…やっぱり直接手渡しするの凄く楽しいです。
色んな年齢のお客さんが買って行ってくれてる事に驚きますし、人混みの中まっすぐ自分のブースにやってきて
本を手にすると嬉しそうに微笑んで、また人混みの中に突っ込んでいく様を見て…
ああ、これがコミケの持ってるエネルギーなんだ、と感じるのです。
他の作家さんも抱いているジレンマとは思うのですが…
数年くらい前から、ウチの本もちゃんと使って貰えてるのかなぁ、なんて漠然と思う事が増えてきまして。
自分の描いている物に一抹の不安が拭えない状況が今でも現在進行形で続いています。
20年くらい前には手書きで感想の手紙を貰っていた事がある身としましては、昨今の
気軽にメールできる状況にもかかわらず感想を貰う機会は減りました。
愚痴めいているかもしれませんが、もう少しお付き合いください。
でも、コミケに参加して終日同人誌を手売りするようになって改めて考えが改められました。
人混みの中、まっすぐウチのサークルに着て新刊を求めるお客様。
しかも新刊一冊だけ手にすると、嬉しそうにそのまま別のサークルを目指して人混みの中に消える
その姿を見てると、それだけの労力に見合う価値を見出して貰えてるんだなあ、と。
此方もバタバタしているのでじっくりとお話する事は出来ませんが、買いに来てくれてる方の大半は
自分が使うために買って行ってくれてるんだって考えられるようになりました。
頼まれて買いに来てる人もいると思いますが、それもまた
コミケに来られないけど欲しいと思ってくれてる知人の為に脚を運んでくれてるのですから同じことで。
すごく基本中の基本ではありますが、こんな事を再認識して嬉しい気持ちを抱いて会場を後にしています。
いつもお買い上げ、本当にありがとうございます。
次も頑張りますよ。
さて、もう一つ。今夏の同人誌を形にする際に凄く大切な方のお話もさせて下さい。
今夏の同人誌は昨年冬コミ終了の段階から「騎士団長物が終わった後なので今度は現代物っぽい作品を作ろう」と
具体的にTSFオフィス物、というコンセプトは固まっていたのですが、いざネームを切り始めると
一気に挫折してしまいました。
挫折の理由は「前置きが長くなる」「でも端折るとオフィス物だとかが服装でしか伝わらない」といった
ベタな物もあったのですが…もう一点、「性転換にかかる説明」でした。
ここで延々悩んで、もうTSF描くの止めようかとすら思ってる際にスカイプでお話させて頂いたのが
中笈木六先生でした。
メッセージでやり取りしたのは2~3行ほど。
そこで「じゃあ○○○というのは如何でしょうか。」
さらりと。
1分も待たずに返ってきた中笈先生の言葉で全部解放されました。
行き詰ってパンパンに膨らんでいた頭の中を、針でパチンと割られた感覚でした。
物書きという職業は勿論沢山の知識情報を組み合わせて積み上げていくお仕事だと思いますが、
ここまで端的に、最短で、理想的なアドバイスを戴いたのは四半世紀漫画家やってた中でも
片手で数えられるほどの経験でした。
デビューの時期からすると、ほぼ同時代を歩んできた中笈先生ですが
まだまだ潰えぬ引き出しの多さと、柔軟な判断に優れた方だと思い知らされました。
改めてこの場でお礼を。中笈先生、ありがとうございます。
まだコミケから程ないので、どの辺が中笈先生のアドバイスだったのかは控えますが
手に取って下さったみなさまは、宜しければ意識してご覧いただけますと幸いです。
「男が女になった話。」
とらのあなDLsiteDMM